被災者へのトイレ支援

このことによつて、被災者へのトイレ支援が迅速におこなわれたことは間違いない。今後の災害時のトイレ対策としては、防災用トイレとしてタイプの違う仮設トイレや携帯トイレの備蓄を行政や地域の自主防災組織が確実におこなうことだ。と同時に、日頃から地域住民が災害時のトイレを想定して、いざという時に備えて実地体験を積んでおくことが大切だ。そのためには山登りやキャンプ、釣りなどの自然体験が楽しくもあり、被災時の疑似体験にもなり、効果を発揮する。これからの新しい防災訓練といえるかもしれない。新潟県中越地震の現場でそんなことも考えていた。快適なトイレとは何か今いちばん望ましい排泄方法は何かと問われれば、水洗トイレで排泄し、それが下水道か浄化槽に入り、最終的に処理場で処理する方法であると一般的には答えるだろう。だが、本当にそうだろうかと、長いあいだ気になっていた。一度、排泄から処理までを整理して、その基本からあらためて問い直してみたいと考えていた。下水道にはいろいろなタイプがあるが、下水道に入るのは人間の排泄物だけではない。各家庭の台所や風呂から出る雑排水、工場排水、雨水などさまざまだ。ここでは、いろいろな汚水が入ってくる下水道全般ではなく、トイレ・屎尿（屎はウンコ、尿はいわずもがなオシッコのこと）処理という観点から下水道を考えてみたい。

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